先日の10月17日に常儀礼(農歴九月一日)と授経式を行いました。
本日はお経の拝領と拝領後の取扱い。並びに、一緒に拝領された修寶について説明したいと思います。
〇『太乙北極真経』の拝領
求修された後、次の段階は『太乙北極真経』の拝領です。
『太乙北極真経』を拝領するためには100日間の先天の坐(はじめは四度=16分)が義務付けられており、100日の坐を修めた後に申請し拝領することできます。
また、『太乙北極真経』は経典であると同時に神位(ご神体)です。そのため丁重に扱う必要があります。『領経須知(りょうきょうすうち)』より抜粋すると、
・経典を拝領した後は必ず浄室に供奉し、これを汚瀆(よごしけがす)してはならない。(若し浄室がない時は神棚などに供奉しても良いが、決してこれを他人に勝手に開いて見せたりしてはならず、鄭重に取り扱うべきである)。
・経典の案前(その前)には香燈、白米、粟、水を一皿ずつ供える。米と水は毎日これを新しく取換えねばならぬ。水や米の取換えが不便であっても、香燈だけは決して缺(欠)してはならない。
・災難に遭遇した時には経典の前で虔誠(けんせい)に叩(こう)して、且つ聖號を百回となえる。疾病の有る時は、お供えの水を煎いて(煮沸して)飲むこと。
などとあります。詳しくは『紅卍字会の概要』に書かれています。なお、水穀米のお供えや香・燈火についてはライフスタイルや防火の点から各自ができる範囲で構いません。
〇修寶について
また、先日の授経では修寶も拝領されました。修寶はペンダントトップの形をした御守です(黄色の小袋に入れて身に着けます)。持ち主を守護するとともに、坐をする時や誦経する時、参経(経を研究すること)する時に、身に着けると良いとされています。
修寶を解説した文章を訳したので掲載します(訳:回原、監修:雲こう ※馬偏に黄)
「修寶の解釈
修寶の楕円の形は炁胞なり。修寶の上端の一小孔(小さな穴)は虚実を示し、左右の葉形は二奥(※)である。楕円形の白色は炁を示す。花の形の八つ点(小円)は八脈(※)なり。これを分けて言えば中心の一点は一滴の小胞を示し、周囲の七つの小点は七窔(きょう※)を示す。
修寶の頂端は半円形であり、波状の半円形を有する。これは十の数を象る。十の数は始まりを示すなり。その下の鈎、双鈎は老祖との符号を象り、異が無いことを表す。
謹んで形を悟れば一包、二奥、七匯(※)、八回(※)、三元(※)、九宮(※)である(三元は本体を上中下の分を示す)。下面に誠の一字は、誠心で坐る者は修寶に示された功果に達することを示す」
<壬寅年(1962年)三月統科※>
守沙仙訓「世間が寶とするものは善である。修方が寶とするものは誠である。故に、修寶は始終の誠実を示し、誠は修程中の限り無き真益に寓し、神と人の間を貫くなり」
※二奥:陰陽の両窔、二奥の炁は神を収し霊を蘊じる基なり。游を定し、基はここより始まる(中和真人訓)
※八脈:任脈、督脈、沖脈(衝脈)、帯脈、陽維脈、陰維脈、陽蹻脈、陰蹻脈で東洋医学の奇形八脈とされるもの。
※七窔、七匯:七経を統一すると八脈が周流する。七経(経絡)は七窔なり。(演經錄)。七匯は七窔に同義。
※八回:八脈が周遊(気の流通)することを示す。
※三元:ここでいう三元の意味は判然としないが、道院では三元は大きな時代の区分を通常は指す。上元、中元、下元の大区分を合わせて三元といい、各元の中にも上元、中元、下元の区分があるとされる。現在は上元の下元の終わり、中元の上元の開始とされる。
※九宮:四正(東西南北)、四隅(東南、西南、東北、西北)と中央
※統科:台北主院で当時行われていた正式な壇。香港宗母総の処科にあたる。