先天の坐

 

先天の坐

 

先天の坐

道院には「先天の坐」という至聖先天老祖より開示された坐が伝わっています。.

この坐は「修道は坐に始まり、坐に終わる」と言われる程、重要視され、修方としての義務の一つです。ただ、先天の坐の方法は修方にのみ開示され、ここで述べることはできません。そのためこのページでは坐の意義を解説していきます。


先天の坐が下ろされた理由

道院の書籍の一つ『弭刼壽世要旨』に先天の坐について、老祖様が示された訓文が収録されています。一部抜粋し、掲載いたします。

老祖訓「吾れ、衆人の相率いてほろび溺れるに及び、流れに迷い返ることを忘れるを憫れむ。若し急いで救わなければ、世界は将に其の世界をなさず、人類も亦将に本真を尽く失ない、生存の望みも、存することができるものはほとんど稀であろう。

  吾、深く悲しみ心を痛める。これを以て古より発表していない秘を尽く告げ、済南の壇(※)で経を伝え、授けるに先天坐法を以ってし、群倫(衆人)を度抜(済度)することができ、浩刼(大災害)に陥るという転移(移り変わり)から免れることを期待する。すでに形(あら)われた刼(災難)から免れることができるだけでなく、すなわち未来の刼も、亦将に修人の坐修の敬虔な帰依に頼らんとするものなり」(廈門道院)

※済南の壇:中国山東省済南の済南母院にあった扶乩の壇

先天の坐は「古より発表していない秘」であり、個人の悟りを重んじるだけでなく、個人の刼(災難)を退け、大きくは世界の刼を鎮めるために開示されたことが示されています。


先天の坐と他の坐の違い

  坐を解説した文章では「上中下三元の坐法とは如何なるものであるかと云うに、其の概要を示すならば、それぞれの坐があり、上元の坐とは先天の坐の謂ひで、無格に法ったもの、純ら自然に従うものだと説くのである。中元の坐は結跏即ち仏法の坐を言ひ、下元の坐は後天の坐で太極に則ったものである。(中略)後天の坐法でも其の適正なるを得れば道を体得することが出来るのであるが、弊害が多い。今道院で定められている上元の坐法はかかる弊害に陥る患が全然無く、且つ結跏したり盤膝(半跏)したりするような労苦を必要とせず極めて楽に不識不知の間に眞諦を体悟するようになっているのである。」と書かれています。

  

『太乙北極真経副集』と先天の坐について

求修(入会)後に『太乙北極真経副集』の拝領するためには、拝領前に100日間の四度(16分)の坐が義務付けられています。それにはこのような経緯があります。

『真経』が1920年に扶乩にて降ろされる前に、その準備として「一庚(10日間)間断なく十六度(64分)の坐をなす者は『太乙北極真経』を語ることが可能となる」と扶乩で指示を受けたことが記録されています。

当時の扶乩に侍する人々が、先天の坐により気を先天の炁へと化し、霊を養うことをして、はじめて『真経』を伝経できると至聖先天老祖は示されたのです。

これにより、現在も『太乙北極真経』を拝領する前に100日間の坐が義務付けられています。

その『真経』の内容は先天の坐や悟りについての解説が各所に説かれ、内容を理解し、先天の坐を深めていくためのテキストとして一面も持ちます。



先天の坐による変化

『弭刼壽世要旨』には先天の坐を行うことで起こる変化も述べられています。

  1. 坐は心を静め気を平にすることができる。
  2. 坐は病を退け災いを無くすことができる。
  3. 坐は霊を養い性(※)を復(かえ)ることができる。
  4. 坐は凡を超えて聖に入ることができる。

特に4の霊を養う重要性を神仙聖仏が様々な訓文で述べられ、消耗してしまう霊を坐により養い、性や道に復することが説かれています。

先天の坐により養われる健康については小冊子『静坐と健康』に詳しく載っています。

※性(セイ、ショウ):様々な意味を持ちますが、ここでの性は「天然自然の性」の意

 

 

 

扶乩について

 

扶乩とは、古来中国から行われていた神託を得る方法です。沙盤(砂が撒かれた盤)を中心に、T字形やY字形の柳や桃の枝を両側から持つと、自動的に枝が動き文字が砂に書かれ、そこから神託を得るものです。研究者によると、様々な道具や形式で中国各地で行われていたそうです。

道院は、中国賓縣の大仙祠にて、呉福永、劉福縁、洪解空、周吉中等が扶乩にて、尚仙や諸神仙より神託を得たことに始まります。特に道院の最初期は訓修期と言われ、あらゆることを神仙に指導いただいていました。

扶乩は当時の規定では下記の6種に分別されます。

・伝経壇:済南母院の母壇をいい、『真経』『正経午集』などの諸経典を降ろした壇。厳格な祭典の後に、經が降ろされます。

・統壇:老祖および諸神仙が降り、訓を降ろすところ。

・文字壇:和光真人(周濂渓)を祭り、当時の会報誌「道徳雑誌」などの原稿を扱う

・問事壇:争いごとや事件の批判指示を伺う。回答が漢詩で示されることが多い。

・書画壇:画、書などを描く。

・求方壇:医療処方の指示を伺う。

また、香港に本部が移ってからも、求修の可否、『真経』や『正経午集』の拝領の可否、道院内の人事など可否や指示をいただく処科が行われていました。各国から送られた呈判文(質問事項)を読み上げたり、目を通さなくても、扶乩にて回答を与えられました。時には前後の同様の質問にまとめて訓を示すなど、まさに神技だったと伝わっています。

 

写真解説

・統壇:この部屋で1990年代まで処科が行われていた。黄色の布に覆われるのは神位と沙盤。書画壇にて岳聖(岳飛)が書かれた書を飾る。香港道院。

東南亜最高宗壇 南光亭:至聖先天老祖より最高宗壇として指定された特別な壇であり、至聖所。神霊から指定があった時のみ用いることができる。香港道院(詳細はこちら)。

 

扶乩の停止について

  道院創立時より、扶乩の神示に頼るのではなく、人事(人間側)の努力により道院を運営することが示されていました。

 1937年に老祖が降ろされた『行修普化固基経要』の序文では「将に(将来において)沙木(扶乩)停止の化機を有象において実現し」とあり、人事にて道院を運営することが神側の意向であることが示されていました。

  しかし、神側の意向は知りつつも扶乩に頼る状況は変わらず、1993年まで扶乩が行われていましたが、その後に正式な壇は開かれていません。

書画壇による絵画▲▲

 

 

 

道院と修方の役目

 

至聖先天老祖の弟子である修方に志願する人は、求修の際に誓願を行います。

その誓願は、

「願わくは、功行を修めんことを。

   願わくは、上乗に至らんことを。

   願わくは、真諦を得せしめんことを。

   願わくは、衆生を度せしめんことを

  もしこの願言に違背しまつらば、上天これをみそなわせ給え」

であり、修方のするべきことはこの誓願に全て込められています。

  功行とは功とは内修(内面の修行)、行は外慈(慈善事業)を示します。

  上乗とは最上の境涯へ至ることを。

  真諦とは深い悟り。

  度すとは済度(救う)の意です。

 

内修と外慈

  内修とは先天の坐や参経(経の研究)を通し、内面を深め、悟りを得ること。

  外慈は小さな募金などから大きな救済事業などの利他業を言います。

  この内修と外慈は修道の上で、基本となります。

  内修と外慈を共に兼ねるのが『真経』や『正経午集』の誦経(6名以上で読経すること)です。誦経することで災刼を化し(消し)、先霊(先祖)の冥修(冥府での修行)を助けることができるとされています。

 

道院で禁じられていること

  道院で禁じられていることは

「党派に渉らず(派閥を作らない、組しない)」

「政治を語らず」

「種族を分かたず」

の3つです。訓文(扶乩による啓示)により、発足当初より禁じられています。

昔の会報誌に戦中、日本人の修方が中国の老修に質問した記事が載っています。「道院は政治的なことは禁じられているが、世を良くするために政治的な発言をするべきではないか?」と質問し、それに対し老修は「政治の体制は変わっても良き世になるか悪政になるかは、人心次第である。その人心を導き、正すことが重要であり、それが道院の役割である」と答えたそうです。

  また、道院内で商売をすること、個人的な利を図るなども、禁止されています。

 

求修(入会)について

求修とは至聖先天老祖の弟子となることです。また、日本紅卍字会に自動的に会員登録されます。日本紅卍字会は道院の主旨に基づいて慈業(福祉事業)を行う公益社団法人です。

求修を希望される方は道院に起こしいただき、各院の前にて誓願を行っていただきます。日程はご相談いただき指定された日に起こしください。

また、道院のことを解説したサイトなどで求修には紹介者が必要と書かれていることがありますが紹介者は不要です。動機などを確認させていただき、その上で統掌が形式的な紹介者となります。道院の主旨を理解し、内修(先天の坐など)と外慈(慈善事業)を修めることを希望する方はどなたでも求修していただけます。

入会金:¥10,000(税込)

年会費:¥12,000(税込)

が必要です(求修の当日にお支払いください)。

 

祭典

下記の祭典を総院にて行っています。修方でない方も一部祭典にご参加いただけます。

常儀礼:農歴(中国歴)の一日(朔)と十五日に正位に対する祭典と『真経』誦経を行っています。

六献典礼:年8回。道院史上、重要な日を祝う祭典です。その中でも、立春は大慶日とされ、最重要な祭典になっています。

五献典礼:奉斎している神仙聖仏の誕日祭典です。

ほとんどの日付は農歴(中国歴)で決まります。こちら【2023年年間行事予定表】を確認してください。

 

誦経会

各祭典とは別に『真経』や『正経午集』を誦経する会が開かれています(誦経会は修方のみ参加可能です)。

第一日曜、第四土曜に開催しています。また遠隔地にお住まいの修方のために誦経会のインターネットでの配信を行っています。

誦経会は、その他の行事により日程が変わる可能性があります。参加される修方、インターネットでの配信を希望される修方はお問い合わせください。

 

 

 

道院と日本紅卍字会の関係性について

 

「道院」は1920年代初頭の大陸における「紅卍字会」発足時より組織の思想母体で、前者は「道徳」を、後者は「慈善」を主目的とする車の両輪のごときものとして一体不可分である、とされてきました。したがって、現在も世界各地の「道院」では大本となった「道徳」思想・哲学の探求を行っており、一方「紅卍字会」では、思想・哲学の研究ではなく「慈善事業」をその活動主体としており、無料の医療活動、教育活動などを発足当時より実施しています。

日本紅卍字会サイト

http://www.jprss.org/