創立100周年となる世界紅卍字会について解説しています。『道慈綱要 卍字篇』の翻訳で、続編です。まだお読みでない方は、先に①②③④をお読みください。今回より「世界紅卍字會」の名称解説となります。
総論
以上で、総観し、各字を解釈し訓文の旨を細かく説明した。世界紅卍字會の六字の深遠な寓意と、各一字が含む数義を知るべきである。(これらは)均しく行慈と関係がある。我らは、各字に込められた真義に応じ、常に忘れてはならない。(皆が持つ)あまたの慈の量を日々増すべきである。慈功は次第に大きくなり、慈の利益は溥(広)まる。
また、この六字、これを分ければ各情義を有する。各字を一律に合して全体の意味を含み、同時に一つ一つの意味を持った名詞である。応じて(各字一つでも)會の主体を為す。世界紅卍字の五字は旨を形容し、その範囲を定め、その性質を表し、その工作(事業)を示し、その効能を明らかにする。それにより他の団体との違いを示し、會の人々に趨向を知らせ、會の外の人には(その表示が)一目瞭然であり、ともに善挙を(助)けるだろう。
蓋し、世界の大国は多く、社会は広く、民族は多く、共同生活の関係に因み、互相扶持を必要としている。士農工商はそれぞれ会を有し、あるいは学術を研鑽し、貿易を求めることを講じ、種子を改良し、無駄な労を省こうとしている。そして、その他の公的な正式なものや正式ではないもの、公開されているもの非公開のものなどがあり、その数を把握することは難しい。さらには、會の名があるもの名も無いものなど、種種の団体がある。(様々な性格な団体があるため)卍會と彼ら無数の會との区別を必ず顕明する必要がある。この定名が区別となることはいうまでもない。世界紅卍字會の六字、一字一字が数ある義を含む。(註:「會」一文字の固有の説明は見当たらないが、「世界紅卍字」の五文字を括る団体と解釈。訳者)しかし、この意義を(汝らが)全く穿鑿しようともしないため、各字の義を述べ、いくつかの訓を明かにし、各単語の原義を説明した。この各字の示す意義より外れてはならない。また、字の義と理に通じてない者に、(解釈を)強いてその通を求めるべきではない。
我らはこの六字に対し、念念この義を忘れてはならない。そのために、卍會を設け、その総、主、省、特、縣、埠、分、支(※)に均しく一律に、この六字を冠し、その下にその會の所在地の名をつける(例:世界紅卍字会 長沙分會)。また、初めには国の名を用いることはなかったが、国都(首都)に於て設けた一総會は、その国名を名となす。その国名の上に、この六字を冠するのである(例:世界紅卍字會 日本※)。蓋し、(六字を冠することには)二つの意味がある。一つは、この六字を常に心に留めておくことである。忘れてはならない。もう一つは、紅卍字會は以下のように明示するのである。世界が主体であることを明示し(前回の「世界」の定義における「世界」のこと)、世界を目標となし、国籍の区別は無く、宗教の区別なく、種族の区別、人物の区別なく、皆を平等に視て、物我ともに忘れる。我らはこの卍會の命名の真義により、その責任の所在を知るべきである。
※総、主、省、特……:総院、主院、省院の意味。詳しくは解説されたこちらの記事をお読みください。
※世界紅卍字會 日本:日本の紅卍字会は「日本紅卍字会」を正式な登録としています。これは登録時に、省庁側は前例がないと「世界紅卍字會」の名称を許可しなかったためです。正式な命名に則れば「世界紅卍字會 日本」となります。
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上記の各文章の出典は特定の訓文からではなく『道慈綱要卍字篇』の筆者がさまざまな訓からまとめた文章だと思われる。(訳者)