創立100周年を迎える世界紅卍字会について連載解説しています。内容は『道慈綱要 卍字篇』の翻訳です。今回より、世界紅卍字会の理念、理想の解説となります(分かりやすいように、小見出しを入れていますが原文にはありません)。
「卍字會の性質」
〇紅卍字の「性(※)」と理念
※性:先天に属する純粋な本質であり、理(ことわり、法則)そのものでもあります。『英訳真経』では「essential nature」とされ、直訳すると「本質的な性質」であり、渝院道院の濟佛訓では「nature(大自然、本質、源)」とされます。
「卍字會の定名」において、その命名の意義について述した。次に、卍字會の性質の所在について知るべきである。ここに詳細を説明する。人でありなが「性」を有さないものはない。性とは生の質であり、其の性が保つことをしなければ、生命はどうして益(益)するのか。自然人(普通の人のこと)は性を有するのみならず、法人(日本語の法人と同義)もまたその性を有する。自然人の性は天によって賦与され、法人の性は創設の人により定まる。前者は天からの賦与であり、後者は人によってなされるものである。これは同じではない。
卍字會は社団法人である。その性もまた人為的であり、自然人とは区別を必要とする。そして、訓によって成立している。故に他の法人とは小さな違いを有する。その性は何を為すのか。世界紅卍字会大綱が既に明文化され、そこに規定されている。大綱第二条に掲げられているところを以って「世界平和」「救済災患」を宗旨と爲している。これにより純粋の慈善団体である卍字會の性質を知ることができる。卍字會の性は世界の永久平和と永無災患であり、人民が同じく安楽を受けることに尽きる。そうでないものは卍字會の本質に非ず、卍字會の範疇の外である。 然り、この希望を必ず達するために、如何にはじめるべきであろうか。それには、卍字會の慈善の性を行使するべきである。天下に暁然大白(※)として、(慈を)促進し救済することである。
卍字會の救済方法は任務の範囲のことであり、本目(項目)で演述することではせず、ここにおいては卍字會の性質を審らかに解説する。蓋し、必ず先ず卍字會の性質を、然る後にその性の自然を明らかにするを順とする。その事実(業績)は、尽く能くその当を得て、悖謬(誤り)の挙に至らず。
※暁然大白:太陽の元にあるような誰の目にも明らかな様
〇個人の性との関係
世の人は不善を為すことが多い。不善を為すことを好むとも云えるほどである。その(世の人の)性は欲に習い、染まり、これのような結果となる。故に我らは卍字會の性質を特に明らかにするだけでなく、とりわけ適宜に審を加える。吾が行ずるこのことは、卍字會の慈善の性に合っているか、卍字會の範囲から出ていないかと。かくの如く心に愧じることはがなければ、日々我らは天賦の性を充することができる。我らの天賦の性は本来、善である。
(人の性は)後天の利欲が覆い、その善性は日に漓(薄)くなっていっている。卍字會の慈善の性と我ら人の本性は完全に相同する。卍字會の性は即、人の性であるということができ、我ら人の性は即、卍字會の性と謂うこともできる。故に人の性を充するを欲すれば、必ず卍字會の性を基本とするべきである。卍字會の性と合を為せば、人の本性もまた合を為す(一体となり、性を充するの意)。卍字會の性と我ら人の性は此の如く密接であり、卍字會の事業とは即ち、自身の事なのである。自身の事と(卍字會のことを)分けることができるであろうか。それはできないのである。自身がなす事とは、卍字會の事業なのである。ここに卍字會の慈善の性を、左に分述する。(続きます。次の「世界永久和平」をアップします)